導入
辺境紳士社交場さまが制作した「のびのびTRPG」という作品があります。
歴史が長いだけに難解になってしまったTRPGの奥深い世界を小さな箱の中に凝縮し、
筆記用具も、予習も知識もいらない、簡易にして究極のTRPGに仕上げたという作品です。
様々な場面が描かれたカードに沿って、ダイスを振って、トークで盛り上がり、結果に一喜一憂。
なるほど、これは確かにTRPGです。すごく、すごーく、楽しいです!
で、せっかくTRPGを楽しむなら「リプレイ」を作ってみたいな、なんて。
こんなにしっかりTRPGできるなら、きっとリプレイも作れちゃうハズ!
そこで今回は「はじめての、のびのびTRPGリプレイ」と題して、
メンバーのうち過半数はTRPG初体験。なんなら単語の意味さえ分からない!
という状況でプレイした「のびのびTRPGリプレイ」をお届けします。
カードに展開が委ねらたり、GMが持ち回り制(!)だったりするルールもあって
どうしても脚本色の強いリプレイになってしまったけれど……。
でも、このリプレイで伝わった楽しさや盛り上がりは、実際のセッションそのままのものです。
正直すっげー楽しかった。この楽しさが、少しでも皆さんに伝わる事を祈りつつ。
キャラクターをつくろう
- *
- ええっと、そんな訳で始めていきましょう。まずは自分のPCを作ります。
自由に選んでも良いのだけど、今回は適当に引いたPCカード(裏表に可愛いキャラクターが描かれている)の裏表好きなほうを選ぶということで。
- PL1 後藤さん → 王族
- じゃあ「王族」にしようかな。「村人」よりは活躍できそう。
- PL2 やくもんさん → 吟遊詩人
- 「吟遊詩人」で。癒やしキャラ(僧侶)はなんか違うし。
- PL3 URUZさん → 魔術師
- 「魔術師」で。
- PL4 うたうさん → 騎士
- せっかく王族が居るし「騎士」にしよう。お守りします(笑)。
- 王族
- うむ。
- PL5 高町ぐずり → 盗賊
- じゃあ僕は余りのカードで……。この二人なら「盗賊」かなー。
- *
- せっかくなので、名前もつけときましょう。
本来はいらないのだけど、雰囲気もでるし、なによりリプレイ用に(笑)。
- グレイス(王族)
- 王族はグレイスにします! 王族っぽいし。
- セガール(魔術師)
- 魔術師はセガールかなあ。
- マックス(吟遊詩人)
- 吟遊詩人はマックスで。
- 騎士
- なんだか、どこかの映画で聞いた名前が続くなあ。
- グレイス(王族)
- 盗賊は鈴木でしょ。
- 鈴木(盗賊)
- 世界観!
- アリス(騎士)
- じゃあ騎士は「アリス」で。
- *
- ここからは「場面カード」を引いていくよ。それぞれのプレイヤーが、その手番の主役となってカードの内容に挑んでいきます。3周だから、15枚場面カードを引いたら、最後に「クライマックスカード」を引いて、ゲーム終了。
- マックス(吟遊詩人)
- クライマックスまでに強くなれば良いんやね。
- *
- そんな感じ。途中いろいろ強くなるタイミングがあるので。
という訳でマックスからはじめましょうか。
1ターン目・マックス:地下牢
――そんなわけで、君達は武器を奪われ、地下の牢獄に放り込まれてしまった……。重く頑丈な鉄格子と見張りの巡回が脱出を困難にしている。だが、ここを抜け出せる可能性はゼロではない。
- *
- いきなりですが、マックスは地下牢に放り込まれています。
- マックス(吟遊詩人)
- なんでだ!
- *
- 日頃の行いなのか、なんなのか。
ここから脱出する手段を考えなくては、物語が始まりません。
- マックス(吟遊詩人)
- 吟遊詩人らしく、十八番のねむりの歌で看守を眠らせて逃げるよ。
- *
- それなら技の判定かな。技10の判定に成功したら眠ってくれるよ。
○のびのびTRPGには力と技のステータスがあるぞ。色々なボーナスを加えた上で、最終的に2つのサイコロを振るんだ。ボーナスとサイコロの出目の合計が決められた数値以上となれば判定は成功となり、きっと何もかもがうまくいく。
- マックス(吟遊詩人)
- 10なら余裕かな。(ころころ)……合計11!
- *
- 成功したので、光のカードが貰えるよ。
- 光のカード
- 甘いGM
○場面カードの局面を無事に丸く収める事ができたら光のカード、失敗したら闇のカードが手に入る。
このカードを集めて自身を強化する事もできるし、新たな展開が生まれる事もあるかもしれない。
ちなみに「甘いGM」というカードはちょっと特殊でリプレイに反映しづらいので、実際にゲームをプレイして体験してみてね。
- *
- 眠っている看守を横目に、こっそりと建物から抜け出すマックス。
これが沢山の人々を巻き込む大事件の幕開けになろうとは……。
このときのマックスには知るよしもなかった。
1ターン目・セガール:俺には夢がある
――君には夢があって、そのために冒険しているんだよね? 野営の見張り中っていうのは、そんなことを語るのにちょうどいいロケーションだ。誰か他に起きていたら、場面PCの夢をいい感じに訊ねてみよう。ひょっとしたらこの冒険の目的がはっきりするかもしれない。
- *
- 舞台は変わって、あるパーティの野営風景です。
セガールは仲間の為に見張りをしています。
- マックス(吟遊詩人)
- そこに、命からがら脱出に成功したマックスが通りかかる。
- セガール(魔術師)
- 怪しい奴!と、また囚われるマックス。
- *
- しかし実際に話すと中々話が分かるやつでした。無事に釈放されます。
- マックス(吟遊詩人)
- 適当に仲良くなったところで、セガールにこの旅の目的を聞こうかな。
- セガール(魔術師)
- 俺は「賢者の石」を探しているんだ……。
- *
- 賢者の石を使って、魔王を倒すとか、幼なじみを救うとか、きっと素晴らしい目的があるのでしょう。単純なマックスはいたく感激して一緒に旅する事を提案します。ふたり旅のスタートです。
夢を語ったので「光のカード」を取ってください。
- 光のカード
- 選ばれしもの
- マックス(吟遊詩人)
- やはり選ばれしものだったのか。
- セガール(魔術師)
- 選ばれしものしか手に入れられないと言われる「賢者の石」……。
俺にならあるいは……。いや、気のせいか。
1ターン目・アリス:いわれなき汚名
――あることないこと噂になって、気がついたら、君の名誉がどん底まで落ちてしまっていた。日頃の行いのせいなのか? このままじゃ、君は、事件の首謀者にされてしまうかもしれないよ!
- *
- またもや舞台が変わって、ここは王都。
最近は、ある騎士の噂でもちきりになっています。
- マックス(吟遊詩人)
- ねえ知ってる? あの紅茶屋、実は……。(ひそひそ)
- セガール(魔術師)
- ああ、ストロー付けてくれないっていう……。(ひそひそ)
- アリス(騎士)
- それ本人の話だから! 今は「アリス」だから!
- 鈴木(盗賊)
- あることないこと噂になってる。(笑)
- グレイス(王族)
- あの騎士、肝心なところですぐに逃げて使えないのよね。
- アリス(騎士)
- えぇぇ……。
- 鈴木(盗賊)
- 別の王族を好いているって話も聞いたことある。
- グレイス(王族)
- ああ……なんか「すぐに裏切る」って噂になってるわね。
- *
- そろそろ弁明をしないと、アリスの立場が危うそうです。
特に何もなければ、技13で判定します。
- アリス(騎士)
- いや、違うんですよ。実は……二重スパイなんですよ……。
- 鈴木(盗賊)
- 同業者かな。
- アリス(騎士)
- 本当はもっとちゃんとした生き方をしたいんですけど……?
でも“王族”から命をうけた以上……仕方ないんですよ……。
- グレイス(王族)
- ほら、すぐ人のせいにするでしょ!
- マックス(吟遊詩人)
- アリスの本質が出た。(笑)
- *
- まあ……でも、とりあえず技12での判定で良いですよ。
- アリス(騎士)
- それなら……(ころころ)。あ、14、行った。
- *
- 成功したので、無事に弁明の声が届いたようです。
噂もしだいに消息していくことでしょう。光のカードが貰えます。
- 光のカード
- 公務員
- アリス(騎士)
- 公務員……。
- グレイス(王族)
- 間違えてないですね、私が、雇ってるし(笑)。
1ターン目・グレイス:宝箱だ!
――その先に向かって目をこらすと、きらりと何かが光った……繊細な飾りの入った、高級そうな宝箱だ! 宝箱には鍵と、多分罠が仕掛けられている。無事に開くことができたら、きっと、人生が豊かになるぞ。
- *
- さらに舞台は変わって、今度はお城の中。献上品の中に、繊細な飾りの入った高級そうな宝箱があります。もう充分に豊かな人生は過ごしているだろうけど、グレイスは中身が気になるみたいです。
力15か、技12以上で無事に中身を取ることができます。
- グレイス(王族)
- 罠が仕掛けてあるのか……。そりゃあ、家来どもに開けさせるよなあ。
王族のスキルを使って、鈴木に開けさせよう。
○ここまで使う機会がなかったけれど、のびのびTRPGにはPCごとの固有スキルがある。状況に適していれば使う事ができるぞ。王族のスキルを使えば、自身の判定を仲間に託す事ができる。
- グレイス(王族)
- 盗賊なら死んでも構わないし。
- 鈴木(盗賊)
- ひどいよ!?
- アリス(騎士)
- まあね、散々世の中に迷惑をかけた罪人なんだろうし。
- 鈴木(盗賊)
- いや……いや、違うよ、正義の盗賊だよ。に、二重スパイだよ。
- グレイス(王族)
- それは盛り過ぎだ。よしやれ。(笑)
- 鈴木(盗賊)
- 横暴だ! ……とりあえず盗賊は持ち前の器用さを発揮します。
○盗賊は固有スキルを使うと「素早さ・器用さ」を求められる場面で「+2」のボーナスがもらえるぞ。
- *
- 技12で成功ね。スキルや能力値をあわせて6+2Dで12を目指して。
- 鈴木(盗賊)
- 6でろ……6でろ……(ころころ)……4。合計10。
- グレイス(王族)
- 失敗するんかい!
- *
- 宝箱は大爆発して、お城もろとも吹っ飛んでしまいました。
判定に失敗したので、グレイスは闇のカードを取ってください。
- 闇のカード
- 鈴木のライバル(自称)
- グレイス(王族)
- 絶対に許さんぞ。鈴木は私が倒すのだー。
1ターン目・鈴木:吊り橋にて
――そのためには、穴だらけで、今にもちぎれ落ちそうな吊り橋を渡るしかない……。厳正なる抽選の結果、最初に渡るのは、君ということになった。慎重に、慎重に進むんだ。よそ見をしないで……。50メートル下にごうごうと濁流が渦を巻いていることとか、気にしない方がいいよ。
- *
- その後なんやかんやあって、5人はパーティを組んで、賢者の石を探す事になりました。なったんです。なったという事にしないと繋がりません。
- 鈴木(盗賊)
- 編集点を作っていくスタイル。
- *
- 賢者の石の情報を求めて旅を続ける一行ですが、どうも次の目的地へは穴だらけで危険な香りがぷんぷんする吊り橋を渡らないといけないみたいです。
“厳正なる抽選”で鈴木がはじめに橋を渡る事になりました。
- マックス(吟遊詩人)
- 鉄砲玉だ。(笑)
- 鈴木(盗賊)
- 死んでもいいから選ばれたのか!?
- アリス(騎士)
- 厳正なる抽選。
- グレイス(王族)
- 濁流が渦を巻いていることとか……、気にしない方がいいよ(はーと)
- *
- 技8の判定に成功すれば無事に渡ることができます。
- グレイス(王族)
- こんなところで死なれたら面白く無いからライバル使います。
○それぞれの光のカード・闇のカードには追加のスキルなどが書かれていることも。ライバルのカードの効果で、グレイスは鈴木の判定に「+2」のボーナスを不本意ながら与える事ができる。不本意ながら。
- 鈴木(盗賊)
- 僕の素早さを活かして、橋をぴょんこらぴょんこら軽快に渡るよ。
- *
- 素早さを活かしているから、盗賊のボーナス+2も加えて……。盗賊はもともと技に4点もっているから、あれ、この段階で判定クリアしちゃってる。
- 鈴木(盗賊)
- やった!
- 光のカード
- 熟練の冒険者
- 鈴木(盗賊)
- 熟練らしく、みんなが渡れるように橋を補強しながら対岸へ渡っちゃおう。
- *
- ようやく次の目的地が見えてきましたよ。小さな村のようです。
2ターン目・マックス:村の陰謀
――目が覚めると、縛られている。目の前に村長が立ち、「この小さな村が生きるためにはこうするしかないのじゃ……すまぬ、村のために、魔物のいけにえとなってくれ。」抵抗するか、いけにえになるか、それとも……? 知恵を絞って、難しい局面を切り抜けるんだ。
- *
- 縛られるのが大好きなマックスは、今日も目覚めると縛られています。
- マックス(吟遊詩人)
- なんでだ!?
- *
- どうやらこの村は、魔物の脅威に晒されているらしい。今日もまた、誰かを生け贄に捧げないといけないみたいだ。どうやら村人達は、マックスを今日の生け贄とするつもりらしいぞ。
- マックス(吟遊詩人)
- ……まあ今回も「眠りのうた」で余裕だね。
- *
- 技15で村人を眠らせて、とりあえずは逃げ切る事ができるよ。
- マックス(吟遊詩人)
- 縛られてて楽器が使えないのは、厳しいかもしれないけど。
能力加えて5+2Dだね……あと10。2Dで10……。俺なら余裕。
- セガール(魔術師)
- 余裕?
- *
- あ、楽器使えないなら技16で。
- セガール(魔術師)
- 余裕ならしょうがない。(笑)
- マックス(吟遊詩人)
- ああ!? いや、歌だから! メインは歌だから!!?
- *
- 16。
- マックス(吟遊詩人)
- 無理に決まってるやん……(ころころ)……3……。
- 鈴木(盗賊)
- 出目ヒドイな!
- マックス(吟遊詩人)
- 合計8です……。
- *
- これから殺されるというのに、歌を歌うなんてのんきだなあ。なんて考えながら、村人は無慈悲にマックスを運んでいきます。マックスを閉じ込めた棺は、ついに魔物の住む洞窟の中へ到着してしまいました。
- 闇のカード
- 闇の宝玉
- *
- そんな時、マックスの懐が鈍く光輝きます。それは両親の形見のお守り。魔物は次々とそのお守りの中へ吸い込まれていきます。お守りの袋を開けると小さな宝玉がひとつ。それは伝説の闇の宝玉でした。あ、賢者の石じゃないよ。
- マックス(吟遊詩人)
- なんとか助かった。
- アリス(騎士)
- これでもうマックスも気がついただろうね。歌で世界は変えられない。
- グレイス(王族)
- でしょうね。
- マックス(吟遊詩人)
- ていうか助けに来てくれよ。
2ターン目・セガール:街で買い物
――冒険の必需品を買うために街をぶらついている君だけど、一体何を買いに来たんだ? ……運悪く、そいつは全世界的に品薄になってしまっているんだ。取り扱っているのは闇市場のうさんくさい商人だけ。「ええ、ええ、ありますとも。それであなた、いくら持ってます? ウッヒッヒ」このままじゃぼったくられちゃうぞ。うまく交渉して、適正価格で買いましょう。
- *
- 今日は街でお買い物です。セガールはどうしても欲しいものがありました。
- マックス(吟遊詩人)
- (俺と違って)平和なイベントやな!?
- セガール(魔術師)
- 日頃の行いやな。
- アリス(騎士)
- あ、(リアルの)お客さんきた。
○このタイミングで花音さんに新たなお客さんがいらして、ちょっとゴタゴタします。全員が席に着けるように机を移動したので、ちょっとPCの順番が前後したりするけど、許してね。
- *
- ええっと、なんだっけ。
あ、そうだ。セガールは欲しいものがあるんです。なんだっけ。
- マックス(吟遊詩人)
- (お客さんがポケモンGOに励んでいるのをチラ見して)あー、ウッヒッヒ、このコイキング1匹500万ゴールドだよ。欲しいんだろう?
- セガール(魔術師)
- コイキングかよ!
- 鈴木(盗賊)
- 世界観!!
- アリス(騎士)
- そういえば、コイキングが賢者の石を飲み込んだって噂になってるよね。
- グレイス(王族)
- らしいですね。
- 鈴木(盗賊)
- 冒険の必需品どころか、冒険の目的になってる。(笑)
- *
- どうだいウッヒッヒ。ほしいんだろう?
この子が賢者の石を飲み込んだっていうコイキングさ。
聞いたよ。賢者の石を手に入れるのが、夢なんでしょう?
- セガール(魔術師)
- とりあえず交渉を試みよう。
- *
- 技13以上で交渉成功するよ。
- セガール(魔術師)
- いける!(ころころ)
- グレイス(王族)
- すごい、6ばっかり。
- *
- 巧みに話を進めて、賢者の石の噂は目の前の商人自らが流した噂という事が分かりました。こんなコイキングに、もう500万の価値なんてありません。200ゴールドで購入して、今晩のおかず……もとい飴玉にしちゃいましょう。成功したので光のカードも取っておいてね。
- 光のカード
- 人情深い
- セガール(魔術師)
- 人情……深い……。
- マックス(吟遊詩人)
- こいつ商人に500万ゴールド寄付するつもりだ!
- 鈴木(盗賊)
- やめて!
2ターン目・アリス:ヒロインが捕まった
――突然地面が真っ二つに割れ、無数のうねうねしたものが飛び出してきた。「きゃあー!」悲鳴が響く。なんてこった、うねうねしたものに縛られ、天高く吊り上げられているのは……○○! 武器を抜いて、急いで助けるんだ。
- *
- 突然地面が真っ二つに割れて、無数のうねうねしたものが飛び出してきた!
- グレイス(王族)
- しょ……触手……。
- *
- せっかく言葉をにごしているのに! そんな中、悲鳴が響く。なんてこった、うねうねしたものに縛られ、天高く吊り上げられているのは、グレイスじゃないか!
- グレイス(王族)
- きゃあー!
- マックス(吟遊詩人)
- やばい!
- *
- さあ騎士の見せ場です。
- アリス(騎士)
- この剣にすべてをかけて……、力づくでも助けだす!
- *
- 力15の判定をクリアしたら助けられます。
- アリス(騎士)
- えぇぇぇ……15……。使えるスキルもないぞ……。
- セガール(魔術師)
- 厳しい。
○騎士のスキルは仲間が危機に陥った際に+3のボーナスを与えて守ってあげるというもの。残念ながら自分自身に使うことはできないのだ。
- アリス(騎士)
- いや、ちがう。仕事は頑張るってことが大事!
- マックス(吟遊詩人)
- 公務員感。
- アリス(騎士)
- (ころころ)全然足りない! いや、でも、頑張ったってことが大事。
- マックス(吟遊詩人)
- 報告書ですね。
- アリス(騎士)
- 報告書出して終わります。
- グレイス(王族)
- えええ……!?
- *
- グレイスは触手に蹂躙されています。もう子どもには見せられない。
とりあえず失敗したので、闇のカードを取ってください。
- 闇のカード
- 貧乏
- アリス(騎士)
- ああついにスポンサーが!
- グレイス(王族)
- そりゃ降りますわ。
- 鈴木(盗賊)
- グレイスがスポンサーだったのか。(笑)
- マックス(吟遊詩人)
- スポンサーなら救って差し上げないと。
2ターン目・グレイス:挫折
――困難にぶつかり、膝をつき、うなだれる冒険者たち。(場面PC以外のみんな、なんでもいいのでがっかりしておこう)このまま冒険は終わってしまうのか……? 違うよね? 場面PCは心の片隅に残った勇気を燃やし、仲間の心を奮い立たせるようなセリフを言うんだ。
- *
- グレイスを救えなかった冒険者たち。とりあえずがっかりしておこう。
- 一同
- あぁぁぁぁ……。
- アリス(騎士)
- グレイスを救えなかった!! と、アリスは一番がっかりしています。
- 鈴木(盗賊)
- 見た目だけは。
- マックス(吟遊詩人)
- 公務員感。
- *
- このまま冒険は終わってしまうのか? 違うよね? 奇跡のパワーで触手から脱出したグレイス。べとべとの身体を引きずって、なんとかみんなの元へ戻ってきます。そして仲間の心を奮い立たせるセリフを言ってください。
- グレイス(王族)
- 私が励ますのか!?
- マックス(吟遊詩人)
- グレイスがいない……!
これでどうやって戦えばいいんだあ……!(最高の熱演で嘆くマックス)
- セガール(魔術師)
- もうおしまいだあ……!(最高の熱演で嘆くセガール)
- グレイス(王族)
- なんか、めっちゃ恥ずかしいからやめて!?
- *
- みんなの元へ辿り着いたグレイスが口を開きます。
- グレイス(王族)
- みんな心配しないで! 私元気だからっ! あー……。
- グレイス(王族)
- がんばろっっっっっ!
- 鈴木(盗賊)
- 軽い!
- グレイス(王族)
- むしろ私を励ましてよ!
- *
- 文章にすれば簡単な言葉かもしれない。でも、その声は不思議とみんなの心に染み渡っていきます。無事に元気をとりもどした冒険者たち。さあ、遅れた時間を取り戻そう。急いで次の街に向かう冒険者たちでした。
グレイスは光のカードを取ってください。
- 光のカード
- 組織の追っ手
- グレイス(王族)
- そういえば私、組織に追われているんだった。
- *
- 今のうねうねしたもの、執拗にグレイスだけを狙っているようにも見えた。
ひょっとしたら……例の組織の……。
いや、今は前だけ向いて進むべきところだ。この話は一旦、忘れよう。
2ターン目・鈴木:酒場にて
――ここは薄暗い酒場……。うわさ話と、荒くれ者達が昼間からたむろする煙たい場所だ。よそ者である君に気付いたのか、荒くれ者達が近づいてくる。「なんだお前」「やるのか」「やっちまえ!」酒場が粗暴な喧騒に包まれた。有力な情報を得るためには、どんな形であれ力を見せつけねばいけないようだ。荒くれ者はパワーしか信じねえ!
- *
- 何か仲間とあったのか、今日の鈴木は街の酒場で一人酒をしています。つまらなそうにお酒を飲んでいると、よそ者である鈴木に気がついたのか、荒くれ者が近づいてきます。
- 鈴木(盗賊)
- イライラしてたし、ギラギラした目をしちゃってたかな。盗賊っぽい奴。
- *
- 「なんだお前」「やるのか」「やっちまえ!」酒場が粗暴な喧騒に包まれた。
有力な情報を得るためには、どんな形であれ力を見せつけねばいけないようだ。
力11の判定で荒くれ者をねじ伏せる事ができます。
- 鈴木(盗賊)
- いいよ、かかってきなよ。ひとりだけど、何とかなる。
- *
- 余裕そうな顔をしつつも、内心は人数の差に怯み気味な鈴木。
- アリス(騎士)
- ここでバンと扉をあけて、駆け込んできます。守りの盾で援護します。
- グレイス(王族)
- 一人で死なれたら困るんだよなー。ライバルだから。
- 鈴木(盗賊)
- みんな……!
- *
- アリスの「守りの盾」と、グレイスの「ライバル」の効果で合計+5のボーナスが加わります。もともとの能力と合わせて2D+8で11出せばOK。
- 鈴木(盗賊)
- ありがとう、これなら余裕! (ころころ)……合計16!
- マックス(吟遊詩人)
- 鈴木の判定が毎回余裕で羨ましい。
- 鈴木(盗賊)
- かわいい女の子だから。
- グレイス(王族)
- 罪人だけど。
- *
- 怪我一つなく荒くれ者を撃退した冒険者たち。しかも賢者の石に関する情報も手に入れる事ができました。次の目的地が定まったところで、出発です。
- セガール(魔術師)
- 今度は信ぴょう性ありそうだ。
- *
- 光のカード取ってね。
- 光のカード
- メガネ
- セガール(魔術師)
- おいメガネ!
- マックス(吟遊詩人)
- いくぞメガネ!
- 鈴木(盗賊)
- そういうところが嫌なんよ!?
3ターン目・マックス:屈強な男衆
――「おおっと、待ちな!」屈強な男衆が立ちふさがる!「このままてめえらを進ませちゃあ、男衆の名がすたるぜ! はあぁぁッ!!」男衆の周りに膨大な力が集まり、輝きを発し始める……! 力には力をもって対抗せねばならない!
- *
- もうすぐ街の出口、という所で声をかけられました。振り返ると、先ほどの荒くれ者の残党か、屈強な男衆が立ち並んでいます。
- 鈴木(盗賊)
- 暇なやつらだなあ。
- *
- 「このままてめえらを進ませちゃあ、男衆の名がすたるぜ!」と、男衆が襲いかかってきます。力には力をもって対抗せねばならない!
力11の判定で、男衆を撃退することができます。
- マックス(吟遊詩人)
- うた歌ってる場合じゃなさそうだ。闇の宝玉のパワーで潰す!
- アリス(騎士)
- 守りの盾で一応フォローしとこう。
- *
- アリスの「守りの盾」と「闇の宝玉」の効果で合計+4のボーナス。マックスの能力値とあわせて、6+2Dで11なら成功だね。
- マックス(吟遊詩人)
- いける! (ころころ)……はいはい合計9で失敗。
- セガール(魔術師)
- サイコロ運なさすぎるんちゃう。
- *
- なんとか他の冒険者が追い返してくれたけど、マックスは今回もズタボロです。
闇のカードをどうぞ。
- 闇のカード
- 力こそすべて
- マックス(吟遊詩人)
- 完全に闇堕ちした!
- 鈴木(盗賊)
- 力もってないのに、なに言ってるんだこの人!(笑)
- マックス(吟遊詩人)
- 屈強な男衆に囲まれて、やっぱり気がついたんです。
歌はもう使えない、力こそすべてだったんや……。
- グレイス(王族)
- 力やったかー。
- マックス(吟遊詩人)
- もう俺歌うのやめるわー。もうだめだわー。時代は力だわー。
3ターン目・アリス:開かない扉
――そんな君達だったが、いつまでも冒険が順調に進むとはかぎらない。行く手を重厚な扉がふさいでいて、扉は固く岩のように閉ざされている……。これを開かなければ、先に進むことはできそうにない。
- *
- そんな君達だったが、いつまでも冒険が順調に進むとはかぎらない。
- グレイス(王族)
- 順調なところあったかな?
- *
- アリスの行く手を重厚な扉がふさいでいて、扉は固く岩のように閉ざされている……。これを開かなければ、先に進むことはできそうにない。力でこじ開けるなら15、技で何とかするなら12の判定で無事に扉を開くことができます。
- アリス(騎士)
- 僕の仲間に、メガネって奴がいるんですよー。
- 鈴木(盗賊)
- メガネってゆーな。
- アリス(騎士)
- 彼女にピッキングのコツを教えてもらった事があって、ここでもそれを活用しようと考えます。なんか、無事に開けられそうな気がする。
- *
- それなら技10で良いですよ。
- アリス(騎士)
- 3+2Dで10。ちょっと厳しいけど……(ころころ)……駄目だ合計8だ。
- マックス(吟遊詩人)
- あのメガネ役にたたんな。
- アリス(騎士)
- メガネの教え方が悪かった。
- 鈴木(盗賊)
- 風評被害や。
- *
- 諦めて引き返すアリス。みんなと合流して別の道を探すことにします。
失敗したので闇のカードを取ってください。
- 闇のカード
- ねこみみ
- 鈴木(盗賊)
- ね こ み み!(笑)
- アリス(騎士)
- なんか自分、よく分からない方向に向かってる気がする。
- グレイス(王族)
- ねこみみ公務員。
3ターン目・セガール:王との謁見
――君達の冒険は国中の注目を集め、ついに王城へ招かれることとなった。謁見の間、玉座に座った王様が君達に声を掛けてくれる。「そなたらが噂の冒険者であるか。この国の平和と繁栄のため、働きに期待しておるぞ。」王様に会うというこの大舞台、うまいこと機嫌を損ねないようにしなきゃな……。
- *
- 賢者の石が世界を救う。しかし、賢者の石を扱えるのは「選ばれしもの」を持ったセガールだけなのであった。とか何とかあって、みんなの冒険は国中の注目を集めてきます。ついに王城へと招かれることとなりました。
- グレイス(王族)
- みんな緊張してるみたいね。
- *
- うまいこと王様の機嫌を損ねないようにしなきゃな……。
技8以上で失礼なく王様にご挨拶する事ができます。
- セガール(魔術師)
- 技8で良いんなら余裕でいけるら……。
- グレイス(王族)
- いけるら?
- マックス(吟遊詩人)
- カミカミやないか!
- *
- 王様の前で噛んだから技10で。
- セガール(魔術師)
- いやいや余裕ですわ。(ころころ)……合計10。余裕やな。
- 鈴木(盗賊)
- いやいや余裕じゃないよギリギリだよ。
- *
- 無事に王様とお話する事ができたので、光のカードをどうぞ。
- 光のカード
- 王の証
- 鈴木(盗賊)
- やたら話が弾んでるなと思ったら、セガールは王位継承者だった!
- セガール(魔術師)
- どやっ。
3ターン目・グレイス:落とし穴!
――歩みを進める君の足元が突然崩れた。落とし穴だ! 深さはちょっとここでは言えないくらい、しゃれになんないぞ。このままでは奈落の底に落ちてしまう。うまく回避するんだ!
- *
- ついに賢者の石が眠る遺跡へとたどり着いた冒険者たち。しかし遺跡には無数のトラップが仕掛けられている様子……。その時、グレイスの足元が突然崩れてしまいます。落とし穴だ!
- グレイス(王族)
- きゃあー。
- *
- このままでは奈落の底に落ちてしまう。
技9以上の判定でうまく乗り越える事ができます。
- グレイス(王族)
- 技が高いキャラクター……。あ、セガール助けて!
王族のスキルで判定をセガールに一任します。
- セガール(魔術師)
- 正当なる王位継承者の力を見るがいい! と、落とし穴の底に向かって強大な魔術をぶっぱなします。ぶっぱなすって事でボーナスください。
○魔術師のスキルは自身の判定中に使えるぞ。「強大な魔術を使って、ぶっとばしたらなんとかなる」というシチュエーションであれば、判定を「8+2D」に塗り替える事ができる。
- *
- 認めたら判定いらなくなっちゃうけど、まあいいや。OK、成功です。
- セガール(魔術師)
- 穴の底で起きた爆発の爆風で、グレイスを穴の外へ飛ばしました。
- グレイス(王族)
- (けほけほ)……痛いけど、助かったー。
- セガール(魔術師)
- ちょっとススがついたけど許してね。
- *
- セガールが判定に成功したので、グレイスは光のカードをどうぞ。
- 光のカード
- 姫
- グレイス(王族)
- そうそう、実はうちの姫がついてきてたんですわ。
- アリス(騎士)
- このパーティ、実は6人だったのか。
3ターン目・鈴木:祭壇
――その奥には古びた祭壇があり、伝説が記されたレリーフがかかげられている。君が進んで調べてみると、レリーフのいくつかの部分がボタンになっているようだ。この謎を解くと、先へつながる何かの仕掛けが動き出す……かもしれない。最初に手を付けた責任を取って、とりあえずやってみたらいいんじゃないかな。
- *
- 遺跡の奥には古びた祭壇があり、伝説が記されたレリーフがかかげられている。この謎を解くと、先へつながる何かの仕掛けが動き出す……かもしれない。
とりあえず鈴木、やってみたらいいんじゃないかな。
- マックス(吟遊詩人)
- よし行けメガネ!
- 鈴木(盗賊)
- メガネってゆーな。……鈴木はメガネをクイッとして、冷静に、クールに、熟練の冒険者の勘も使って、そのレリーフを分析します。
- *
- レリーフのいくつかの部分がボタンになっているようだ。
技11以上で無事に謎を解くことが出来そうです。
- 鈴木(盗賊)
- 盗賊のスキルを使って、器用にボタンを調べていきます。
- グレイス(王族)
- 鈴木なら多分大丈夫。なんたってライバルだからね。
- *
- 「メガネ」の効果と、盗賊のスキル、さらにはグレイスの「ライバル」の効果もついて、合計+5のボーナスがつきます。能力いれて8+2Dでの判定です。
- セガール(魔術師)
- ライバルがすごく強い。
- 鈴木(盗賊)
- 調べます! (ころころ)……合計11です。
- マックス(吟遊詩人)
- 熟練のくせにギリギリやないか!
- 鈴木(盗賊)
- このギリギリできるかできないか……みたいな所を意識できる様になってこそ、熟練の冒険者っていうんだ……。
- *
- 無事に謎を解き、扉が開きました。この奥には、賢者の石が待っています。
光のカードを取ってください。
- 光のカード
- グレイスへの忠誠
- 鈴木(盗賊)
- ライバルとして助けてもらっている内に、いつしか忠誠心が芽生えた。
クライマックス
――「はははは! この力のモト二、私ガ世界ヲ支配する! ハハハハッハッハハー!」哄笑するラスボスは大いなる存在へと姿を変える。その力の源はまさしく、きみたちがこれまでの冒険で目にした、あれだ。力の源とはすなわち、ラスボスの弱点。光と闇の中からそれを見つけ出し、奴を止めるんだ。世界が支配されてしまう前に。
- *
- 賢者の石を前に見慣れない魔物が佇んでいます。「はははは! この力のモト二、私ガ世界ヲ支配する! ハハハハッハッハハー!」哄笑する魔物は大いなる存在へと姿を変える。その力の源はまさしく、きみたちがこれまでの冒険で目にした、あれだ。
- マックス(吟遊詩人)
- あれっていうと、やっぱこれがラスボスっぽい。
- グレイス(王族)
- やっぱり「力こそすべて」だよね。
- *
- 「力コソ全てナノダ! ハハハハッハッハハー!」と襲いかかって来たラスボスを撃破するには冒険者全員が1Dずつダイスを振り、合計で25を超えなくてはならない。しかもスキルは使えない。
- アリス(騎士)
- かなり厳しい……。
- *
- しかし、その力の源は同時にラスボスの弱点でもある。数字を……5倍したものを……有利な効果として……反映する。あれ……?
- セガール(魔術師)
- 力こそ全ては「力+3」の効果だから、ボーナス+15ってこと?
- マックス(吟遊詩人)
- こんなに貰っていいんだろうか。(笑)
- 鈴木(盗賊)
- 完全に勝ちにいってる!
- *
- 整理すると+15のボーナスがあるから、全員が1Dずつ判定して合計が10以上でラスボス撃破という事になるね。ひとりあたり2で良い。
- グレイス(王族)
- 余裕やね。やるか! (全員がころころ)
- マックス(吟遊詩人)
- 2
- セガール(魔術師)
- 2
- アリス(騎士)
- 2
- グレイス(王族)
- 1
- 鈴木(盗賊)
- 5
- 一同
- ギリギリやん!?
- マックス(吟遊詩人)
- ちょっとグレイスなにやってんの!!?
- グレイス(王族)
- ごめ……ごめん(笑)
- マックス(吟遊詩人)
- いやあメガネが居てよかったねえ。
- アリス(騎士)
- この辺(アリス・マックス・セガール)、最低限の仕事しかしてない。(笑)
- 鈴木(盗賊)
- その公務員三人衆なんなん?(笑)
- グレイス(王族)
- その点メガネは忠誠を誓っているだけあってよくやった。姫をやろう。
- 鈴木(盗賊)
- やったー姫だあ。
- *
- なんとか厳しい戦いを制した冒険者達。無事に賢者の石を手に入れ、世の中の平穏は守られました。この活躍は、きっとこの先何百年も語り継がれていくことでしょう。めでたしめでたし。
エピローグ
あの大冒険から、気がつけば3年。
みんなが守った平和が、今日もまた緩やかに流れていきます。
そんな街の一角から、何やら勇ましい声が聞こえてくるようです――。
- マックス
- ふんっ! ふんっ! ふんすぅーーーッッ!
この世の中は、歌では良くならない――。
悟りの境地へと達したマックスは、今日も力を求めて毎日筋トレに励んでいます。
- マックス
- やっぱり、世の中力こそがすべてだったんや。
- 鈴木
- 毎日筋トレばっかり、飽きないなあ。
- 姫
- ん! 差し入れ!
- マックス
- ありがとう、それでメガネ屋のほうは順調かい?
- 鈴木
- おかげさまで、なんとか!
そこへ差し入れをもってきたのは、鈴木と姫でした。
鈴木は自身の視力低下、そして守りたい存在の姫ができたことで、
盗賊業から足を洗い、いまでは街の一角でメガネ屋を経営しています。
- 鈴木
- 確か今日だったかなって。一緒に見に行かない?
- マックス
- そうか、今日か。新しい王が知り合いってのは、なんか不思議な気分だ。
- 鈴木
- お祝いに歌くらい歌えばいいのに。
- マックス
- 歌では世界は変わらないんだ。
今日は新たな王が誕生する日です。新たな王の名は、セガール。
その部下には、あのアリスも居るようです。
- アリス
- 待遇がかなりよくなって、貧乏も改善してきました。
- セガール
- でも「ねこみみ」は外さないんだなあ。
人情深いことで知られるセガール王。きっとこれからの国は、彼さえいれば大丈夫でしょう。
そして舞台は、その日の夜へと移ります――。
- セガール
- しかし久しぶりに、このメンバーで集まったなあ。
- 鈴木
- みんな忙しいからね。セガールなんて王様だし!
- アリス
- これで、かつての上長も一緒だったら良かったのですが。
- マックス
- グレイス、いまごろ何をしているのか。
組織の追っ手に追われ続けていたグレイス。
最愛の姫を鈴木に預けると、彼女は夜の闇へと消えていきました。
きっとこれが姫にとって、一番幸せな道だから……。そう、言い残して。
- アリス
- まあ、とりあえず乾杯しましょう。彼女ならきっと元気にやっています。
- 一同
- かんぱい!!
- グレイス
- ……かんぱい!!
- マックス
- グレイス!!?
- グレイス
- 今日くらい顔を出したいなって……帰ってきちゃった……。
- 鈴木
- って、なんか身体がどろどろなんだけど!?
- グレイス
- ああ、触手に、ちょっとね……。
彼らが、これからどうなるか。それは誰にも分からない。
グレイスの過去をめぐって、新たな冒険が始まるのか、始まらないのか。
何はともあれ、この物語はここで一区切りだ。
……時間、まだある?
だったら席替えをして、もう一度冒険に出てみるのもいいかもね。
Fin.